祖父は、静かな人だった。
多くを語らず、
笑うときも、ほんの少し口元が緩むだけ。
そんな祖父の唯一の趣味が、ジャグラーだった。
派手な台には座らない。
いつも島の端。
光る瞬間を、ただ待っていた。
■ 子どもの頃の記憶
小さかった私は、
祖父の隣でコインを触らせてもらっていた。
「ほら、光っただろ」
そう言って見せてくれた
GOGOランプの優しい光。
あの青白い光は、
なぜか安心する色だった。
■ 時間は流れ
やがて私は大人になり、
祖父はホールに行かなくなった。
足が弱くなったからだ。
それでも、テレビのCMで
ジャグラーが映ると、少しだけ目が輝いた。
■ 最後のお願い
ある日、祖父が言った。
「もう一回だけ、光るところを見たいな」
私は迷わなかった。
祖父の手を取り、
久しぶりにホールへ向かった。
■ 静かな島
台に座る祖父の背中は、
昔よりずっと小さく見えた。
100G。
200G。
光らない。
私は少し焦った。
でも祖父は、穏やかだった。
「ジャグラーはな、焦らんのがコツや」
■ その瞬間
第三停止を離した瞬間。
ふわっと、光った。
GOGOランプ。
祖父は小さく笑った。
「ああ、きれいやな」
それだけだった。
大きな声も、派手なリアクションもない。
ただ、静かな満足。
■ それが最後だった
それから数週間後、祖父は静かに旅立った。
あの日の光が、
最後のペカリになった。
■ 今でも
私は時々、ジャグラーを打つ。
勝ちたい日もある。
でも本当は、
あの光を思い出したいだけかもしれない。
派手じゃなくていい。
一瞬でいい。
あの優しい光を、もう一度。




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