モバイルバッテリーを見たときに、
「本体が丸く膨らんでいる」
「ケースのつなぎ目が開いている」
「充電中に異常に熱くなる」
「焦げたような臭いがする」
という異常があれば、使用を続けてはいけません。
膨張したモバイルバッテリーは、内部に異常が起きている可能性があり、強い衝撃や圧力、高温などをきっかけに発熱・発火するおそれがあります。
NITEが2020年から2024年までに受け付けたリチウムイオン電池搭載製品の事故は1,860件あり、そのうち約85%が火災事故に発展しています。
この記事では、モバイルバッテリーが膨らんだときの対処法、安全な保管方法、処分先の探し方を分かりやすく解説します。
結論|膨張を見つけたら充電と使用を直ちに中止する
膨らんだモバイルバッテリーを見つけたら、次の順番で対応してください。
- 充電と使用を中止する
- 本体を押したり分解したりしない
- 発熱・煙・異臭がないか確認する
- 燃えやすい物や高温になる場所から離す
- メーカーや購入店へ相談する
- 自治体の処分方法を確認する
- 煙や炎が出た場合は近づかず119番へ通報する
膨張した製品は、元の形へ戻したり、充電を使い切ったりせず、早めに処分方法を確認することが大切です。
状態別の対応方法
| モバイルバッテリーの状態 | 対応 |
|---|---|
| 少し膨らんでいるが冷たい | 使用を中止し、メーカー・自治体へ相談 |
| ケースが割れている | 触る回数を減らし、回収先へ相談 |
| 異常に熱い | 触らず周囲から離れる |
| 焦げた臭い・異音がする | 人を近づけず、必要に応じて119番 |
| 煙や火花が出ている | 近寄らず安全を確保して119番 |
| 炎が出ている | 避難を優先し、消防の指示に従う |
「少し膨らんでいるだけだから大丈夫」と判断せず、異常を見つけた時点で使用を中止してください。
モバイルバッテリーが膨らむのは危険なサイン
モバイルバッテリーには、一般的にリチウムイオン電池が使われています。
リチウムイオン電池は、落下や圧力、高温、内部異常などによって損傷すると、発熱や発火に至る場合があります。強い衝撃を受けた直後ではなく、時間が経過してから異常が現れる可能性もあります。
次の症状がある場合は、故障や劣化が疑われます。
- 本体が丸く膨らんでいる
- 外装やケースに隙間ができている
- 平らな場所に置くと安定しない
- 以前より充電中に熱くなる
- バッテリー残量が急激に減る
- 充電が途中で止まる
- 異臭や異音がする
- 端子部分が変色している
膨張したバッテリーは修理して使うのではなく、使用を中止して適切に処分する必要があります。
1.充電ケーブルを安全に外す
膨張に気づいたときに充電中だった場合は、発熱・煙・異臭がなく、安全に操作できる状態であれば充電を中止します。
可能であれば、モバイルバッテリー本体を強く動かさず、先にコンセント側の電源を切るか、充電器をコンセントから抜いてください。
ただし、次の症状がある場合は、近づいたり触ったりしないでください。
- 触らなくても熱さを感じる
- シューという音がする
- 白い煙が出ている
- 焦げた臭いがする
- 火花や炎が出ている
- 本体から液体が漏れている
異常を感じた場合は、自分で移動させるよりも、周囲の人を遠ざけて安全を確保することを優先します。
2.押したり元の形に戻したりしない
膨らんだモバイルバッテリーを、手で押して平らに戻してはいけません。
次の行為も危険です。
- 膨らんだ部分を強く押す
- 重い物を上に載せる
- テープで強く巻く
- 穴を開けて空気を抜く
- 外装を開ける
- 電池を取り出す
- ハンマーなどで壊す
- 無理に曲げる
リチウムイオン電池は、強い圧力や衝撃で損傷し、発熱・発火する可能性があります。
モバイルバッテリーは本体のまま回収される製品です。JBRCも、モバイルバッテリーを分解して電池を取り出さないよう案内しています。
3.燃えやすい物や高温になる場所から離す
膨張しているものの、発熱・煙・異臭がなく安定している場合は、次の場所を避けて一時的に保管します。
- カーテンや布団の近く
- 紙や段ボールの上
- 木製家具の中
- 直射日光が当たる窓際
- 暖房器具の近く
- 夏の車内
- 子どもやペットが触る場所
- 出入口や避難経路
NITEは、膨張したモバイルバッテリーについて、金属製の容器に入れてふたをすることで、万が一発火した場合の周囲への延焼被害を抑える方法を紹介しています。
ただし、すでに熱くなっているものや煙が出ているものを、無理に容器へ移してはいけません。
安全に触れられる状態か判断できない場合は、近づかず消防へ相談してください。
4.製品名とメーカーを確認する
安全に確認できる場合は、モバイルバッテリーの表面や購入履歴から次の情報を調べます。
- メーカー名
- 製品名
- 型番
- 購入日
- 購入店舗
- 注文番号
- 保証期間
型番が分かれば、メーカーの公式サイトや経済産業省のリコール情報で、対象製品になっていないか確認できます。
リコール対象品の場合は、異常が見られなくても使用を中止し、メーカーや販売店へ連絡する必要があります。
メーカーへ連絡するときは、
モバイルバッテリー本体が膨張しています。充電と使用は中止しています。安全な回収方法を教えてください。
と伝えると状況を説明しやすくなります。
5.購入店やメーカーへ回収できるか確認する
モバイルバッテリーのメーカーによっては、膨張した製品の回収や交換方法を案内している場合があります。
次の順番で問い合わせてください。
- 製造メーカー
- 購入した店舗
- 家電量販店
- お住まいの自治体
持ち込む前に、電話や問い合わせフォームで「膨張したモバイルバッテリー」であることを伝えてください。
店舗によっては、通常の使用済みバッテリーは回収していても、膨張・破損した製品は安全上の理由から受け取れない場合があります。
連絡せずに店内の回収ボックスへ入れないようにしましょう。
6.JBRCの回収ボックスへ勝手に入れない
家電量販店などには、JBRCの小型充電式電池回収ボックスが設置されていることがあります。
しかし、膨張したモバイルバッテリーは通常の回収対象ではありません。
JBRCは、膨張・破損・水濡れした電池を回収対象外としており、メーカーまたは自治体へ相談するよう案内しています。
そのため、膨らんだ製品を回収ボックスへ直接入れず、必ず店員へ相談してください。
JBRCで回収できない可能性があるもの
- 膨張した電池
- 破損した電池
- 水に濡れた電池
- 分解された電池
- メーカー不明の製品
- JBRC会員企業以外の製品
通常の使用済み製品と、膨張・破損した製品では処分方法が異なります。
7.自治体の処分ルールを確認する
家庭から出るリチウムイオン電池や電池使用製品は、お住まいの市区町村が定めるルールに従って処分します。環境省も、自治体ごとのごみ出しルールを確認するよう案内しています。
自治体のホームページで、次の言葉を検索してください。
自治体名 モバイルバッテリー 膨張 処分
または、自治体のごみ担当窓口へ電話して、
膨張したモバイルバッテリーを処分したいのですが、どこへ持ち込めばよいですか。
と確認します。
自治体へ確認したいこと
- 膨張した製品を回収できるか
- 持ち込み場所
- 持ち込み可能な曜日と時間
- 持ち運ぶ際の方法
- 事前予約が必要か
- メーカー不明でも回収できるか
自治体によって回収方法が異なるため、一般ごみや不燃ごみとして自己判断で出さないでください。
8.一般ごみや不燃ごみへ入れない
モバイルバッテリーを通常のごみ袋へ入れると、ごみ収集車や処理施設で押しつぶされ、発火する危険があります。
環境省は、リチウムイオン電池が原因となる廃棄物処理施設や収集運搬車両での火災が頻繁に発生しているとして、適切な分別を呼びかけています。
次の場所へ自己判断で捨てないでください。
- 燃えるごみ
- 燃えないごみ
- プラスチックごみ
- 金属ごみ
- 小型家電の無人回収箱
- 通常の電池回収ボックス
- マンションのごみ集積所
自治体や回収事業者から指定された方法だけを利用しましょう。
9.持ち運ぶ前に回収先へ相談する
膨張したモバイルバッテリーを持ち込む際は、先に回収先へ連絡し、運搬方法を確認してください。
自己判断でカバンやポケットへ入れると、ほかの荷物から圧力がかかったり、端子が金属と接触したりする可能性があります。
特に次の状態では、自分で持ち運ばない方が安全です。
- 本体が熱い
- 膨張が進んでいる
- 外装が割れている
- 液体が漏れている
- 異臭や異音がする
- 一度煙が出た
- 落下や強い衝撃を受けている
回収先から持ち運び方法を指定された場合は、その指示に従ってください。
宅配便や郵便で、膨張した製品を自己判断で送ることも避けましょう。
煙や炎が出た場合の対処
モバイルバッテリーから煙、火花、炎が出た場合は、処分方法を調べる段階ではありません。
まず人命と安全を優先してください。
- モバイルバッテリーから離れる
- 周囲の人にも離れるよう伝える
- 安全な場所へ避難する
- 119番へ通報する
- 消防の指示に従う
NITEは、煙や炎が噴き出している間は絶対に近づかないよう案内しています。対処が難しいと判断した場合は、安全確保を最優先に119番通報する必要があります。
小型のモバイルバッテリーについて、火花が収まったあとに安全に対応できる場合は、大量の水による消火方法もNITEから案内されています。ただし、近づくことに少しでも危険を感じる場合は、自分で消火しようとせず、消防へ任せてください。
絶対にやってはいけないこと
使い切ってから捨てようとする
膨らんだ製品を放電するために、スマートフォンを接続して使い切ってはいけません。
充電だけでなく、給電中にも発熱する可能性があります。
もう一度充電して確認する
「まだ使えるかもしれない」と充電し直すのは危険です。
膨張を確認した時点で、充電と使用を中止してください。
膨らみを押し戻す
強い圧力によって内部が損傷し、発熱や発火につながる可能性があります。
針やドライバーで穴を開ける
電池内部へ工具が触れると、短絡や発火につながるおそれがあります。
分解して電池だけ取り出す
モバイルバッテリーは、分解せず本体のまま処分方法を確認してください。
夏の車内へ置いておく
リチウムイオン電池は高温環境で内部反応が進み、発熱や発火に至る可能性があります。真夏の車内や直射日光が当たる場所へ放置してはいけません。
自己判断で水に浸ける
発火していないモバイルバッテリーを、保管目的で水に浸けないでください。
水を使う対応は、実際に発火した場合の消火に関するものであり、通常の保管方法ではありません。
モバイルバッテリーの膨張を防ぐ使い方
完全に防げるわけではありませんが、事故の危険を減らすため、次の点に注意しましょう。
高温の場所へ放置しない
- 夏の車内
- 直射日光が当たる窓際
- 暖房器具の近く
- 炎天下のバッグの中
高温環境は、リチウムイオン電池の異常発熱や発火につながる可能性があります。
落とした製品を使い続けない
強く落としたり、踏んだり、カバンの奥で圧迫されたりした製品は、外見に変化がなくても内部が損傷している可能性があります。
異常な発熱や変形があれば、使用を中止してください。
寝ている間の充電を避ける
充電中に異常が起きても、すぐに気づけない可能性があります。
NITEは、充電・使用中にときどき状態を確認し、異常を感じたら直ちに充電と使用を中止するよう呼びかけています。
信頼できるメーカーから購入する
メーカー名や連絡先、保証内容が明確な製品を選びましょう。
日本で販売されるモバイルバッテリーは、PSEマークの有無も確認します。経済産業省も、購入時にPSEマークを確認するよう案内しています。
リコール情報を確認する
購入後も、メーカーや経済産業省、NITEのリコール情報を確認しましょう。
リコール対象になっている場合は、正常に見えても使用を中止し、案内に従ってください。
よくある質問
少ししか膨らんでいなくても使用をやめるべきですか?
はい。
膨張の大きさにかかわらず、外装の変形を確認した時点で充電と使用を中止してください。
膨らんだまま一晩置いても大丈夫ですか?
できるだけ早くメーカーや自治体へ相談してください。
発熱や煙がなく安定している場合でも、燃えやすい物や高温になる場所から離し、人が触らない場所で一時的に管理します。
家電量販店へ持っていけば処分できますか?
店舗によって異なります。
JBRCでは膨張した電池を通常の回収対象外としているため、持ち込む前に店舗へ電話し、受け入れ可能か確認してください。
膨らんだ製品を充電して残量をゼロにしてもよいですか?
充電も給電も行わないでください。
残量を減らす目的で使い続けると、発熱する可能性があります。
購入したメーカーが分かりません
お住まいの自治体のごみ担当窓口へ、メーカー不明であることと膨張していることを伝えて相談してください。
一般ごみや回収ボックスへ自己判断で入れないようにしましょう。
金属製容器がない場合はどうすればよいですか?
無理に移動させたり、身近な容器で密閉したりせず、自治体や消防へ状態を説明して対応方法を確認してください。
すでに発熱・異臭・煙がある場合は触らず、安全な場所へ避難して119番へ通報します。
まとめ|膨張したら使わず、メーカーか自治体へ相談しよう
モバイルバッテリーが膨らんだ場合は、次の点を守ってください。
- 充電と使用を直ちに中止する
- 押したり穴を開けたりしない
- 分解して電池を取り出さない
- 高温や燃えやすい物を避ける
- メーカーとリコール情報を確認する
- 回収ボックスへ勝手に入れない
- 自治体の処分ルールを確認する
- 一般ごみへ入れない
- 煙や炎が出たら近づかず119番へ通報する
膨張したモバイルバッテリーは、「まだ充電できるか」ではなく、安全に使用を中止して正しく処分することが最優先です。
自分で直そうとせず、メーカー・購入店・自治体のいずれかへ早めに相談しましょう。
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